JNG320S0602-02
JNLA 不確かさの見積もりに関するガイド
登録に係る区分:高分子曲げ試験
(第2版)
改正:平成27年2月25日
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目次 ページ 1 はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 2 適用範囲 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 3 プラスチックの曲げ試験の操作例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 4 測定の不確かさの要因 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 5 不確かさの見積もり方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 5.1 計測機器の校正の不確かさについて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 5.2 測定不確かさのタイプ A 評価 (MPa) ���(��) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 5.3 測定不確かさのタイプ B 評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 5.3.1 評価項目 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 5.3.2 不確かさ見積もり手順 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 5.4 合成標準不確かさ(MPa) ��(��) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 5.5 拡張不確かさ(MPa) �(��) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 6 不確かさの見積もり事例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 6.1 試験所の試験室内評価実験による見積もり事例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 6.1.1 測定不確かさのタイプ A 評価の標準不確かさ(MPa) ���(��) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 6.1.2 曲げ応力の標準不確かさ (MPa) ���(��) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 6.1.3 合成標準不確かさ(MPa) ��(��) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 6.1.4 拡張不確かさ(MPa) �(��) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 6.1.5 バジェットシート ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 6.1.6 拡張不確かさの表記 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18 6.2 依頼試験(試験報告書に不確かさの表示の要求があった場合)の見積もり事例 ・・・・・・・・・・・・・・ 18 6.2.1 測定不確かさのタイプ A 評価の標準不確かさ(MPa) ���(��) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18 6.2.2 曲げ応力の標準不確かさ (MPa) ���(��) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 6.2.3 合成標準不確かさ(MPa) ��(��) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 6.2.4 拡張不確かさ(MPa) �(��) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 6.2.5 バジェットシート ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 6.2.6 拡張不確かさの表記 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 7 参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 今回の改正のポイント ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23
1 はじめに
JNLA における登録試験事業者は、ISO/IEC 17025「試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項」への適合が要求さ れており、その要求事項の一つとして測定の不確かさの推定がある。
不確かさの推定については、ISO/IEC Guide 98-3:2008「測定における不確かさの表現のガイド」(Guide to the expression of uncertainty in measurement) (以下「GUM」という。)によって理論的な根拠が確立されているものの、実際の試験において不確か さを算出するには適用が難しい面もあり、詳細については各試験所の判断に委ねられている。そのため、同一の試験であっても、 要因分析等の詳細については、試験所ごとに異なるのが現実である。
このガイドでは、JNLA において化学品分野に分類されている試験の中から、JIS K 7171:2008「プラスチック-曲げ特性の求め 方」(以下「JIS K 7171」という。)を取り上げ、測定の不確かさの算出について一つの例を示すものである。
なお、このガイドは、あくまでも測定の不確かさについての理解を深めるための一つの例であり、不確かさの算出をここに示す方 法に限定しているものではない。
2 適用範囲
このガイドは、化学品分野の高分子曲げ試験に分類された試験方法のうち、JIS K 7171 の 3.4 曲げ強さ(単位は、メガパスカル (MPa)で示す。)及び 6.1.2 推奨試験片の寸法における測定の不確かさの見積もりに適用することができる。
3 プラスチックの曲げ試験の操作例
このガイドでは、試験片は、以下の通り操作する。 a) 試験片の作製
プラスチック(以下「プラスチック」という場合、ある特定のプラスチック材料をいう。)からできる限り均質な JIS K 7171 6.1.2 の推奨 試験片を 6.3 の規定にしたがって作製し、試験用に無作為に抜き取り、試験試料は均一であると仮定する。
b) 状態調節及び試験環境
試験片は、JIS K 7100:1999「プラスチック-状態調節及び試験のための標準雰囲気」(以下「JIS K 7100」という。)の標準雰囲 気 23/50 で行うと規定しているため、温度 23 ℃±2 ℃、相対湿度 50 %±10 %で状態調節及び試験される。
c) 試験片の寸法
推奨試験片の寸法 (mm) は、次による。 長さ、 l: 80.0 mm 幅、 b: 10.0 mm 厚さ、 h: 4.0 mm
試験片の寸法測定精度は、JIS K 7171 8.2 の規定にしたがい、試験片の幅 b を 0.1 mm まで、試験片中央の厚さ h を 0.01 mm まで測定した。試験に用いる一組みの試験片(5 個以上)のそれぞれの厚さを測定しその平均厚さ ℎ を計算し平均値の±2 % の 許容差に入っていた。
支点間距離 L は、JIS K 7171 8.3 に規定する� = (16 ± 1)ℎ によって算出し、支点間距離 L は、0.5 %程度の精度で測定すると 規定されているため、L=64 mm とし、精度を 0.2 mm とした。
d) 曲げ応力の計算
このガイドでは、特性値のうち、JIS K 7171 の 3.4 曲げ強さのみを取り扱う。このガイドで適用する不確かさの伝播則を参考に曲 げひずみ及び曲げ弾性率の計算にも適用できる。
曲げ応力は、次の式(1)によって算出する。
��=
3��
2�ℎ2 (1)
ここで、
�� :曲げ応力 (MPa)(1)
� :力 (N)
L :支点間距離 (mm) b :試験片の幅 (mm) h :試験片の厚さ (mm) である。
e) 有効数字
曲げ応力は、JIS K 7171 の 9.5 有効数字にしたがって 3 けたまで計算する。
注(1): 「��」について、JIS K 7171 で「��」と表記されているが、このガイドで標準偏差に「�」で表記すると識別しづらくなる恐れが あるため、「��」と表記する。
4 測定の不確かさの要因
一般に、試験方法の不確かさの要因を考えるときは、操作手順、方法の妥当性、測定のトレーサビリティ等を考慮することとして いるが、妥当性を評価した結果 JIS 規格として制定されているので、不確かさの見積もりのため改めて方法の妥当性を検討する必 要はない。JNLA 化学品分野の高分子曲げ試験における不確かさの要因としては、以下のとおり 5 種類に大別する。
a) 試験環境に起因する不確かさ 1) 状態調節及び試験室の試験温度 2) 状態調節及び試験室の相対湿度 b) 計測機器に起因する不確かさ
1) 温度計の校正 2) 温度計の分解能 3) 測長器の校正
3.1) ノギスの校正 3.2) マイクロメータの校正 4) 測長器の分解能
4.1) ノギスの分解能 4.2) マイクロメータの分解能 5) 曲げ試験機の校正 6) 曲げ試験機の分解能
7) 曲げ試験機のクロスヘッド速度精度 c) 試験者に起因する不確かさ
1) 試験片に対する測長器の当て方又は強さ 2) 測長器の目盛りの読み方
3) 試験片作製作業
4) 曲げ試験機への試験片の取り付け作業 5) 予備荷重
6) 支点間距離 7) 試験作業
d) 繰り返し測定に起因する不確かさ 1) 厚さ測定の繰り返し
2) 幅測定の繰り返し 3) 支点間測定の繰り返し 4) 曲げ強さ試験の繰り返し
e) 試験方法の寸法の測定精度に起因する不確かさ 1) 寸法測定精度(幅)
2) 寸法測定精度(厚さ) 3) 支点間測定精度
5 不確かさの見積もり方法
5.1 計測機器の校正の不確かさについて
試験所は、計測機器の校正の不確かさを見積もる場合、計測機器の校正結果を試験にどのように反映しているかによって以下 の二つのケースから選択して見積もることができる。
a) 試験所が校正された計測機器又は標準物質の校正値で測定機器を補正する場合
計測機器の校正証明書等から入手した不確かさを適用する。このガイドでは、校正を要する測定機器を曲げ試験機及び測長器 として、校正証明書等から入手した不確かさを適用する。
b) 試験所が計測機器の校正値を補正しない場合
試験所が計測機器の校正値で補正せずに読み値をそのまま試験結果として採用し、同時に計測機器の校正値がその不確かさ も含めて試験所自身が取り決めた管理範囲内にあれば使用可と判断していることがしばしばある。特に、同一仕様の計測機器を 多数保有している試験所においては、計測機器の校正値を補正し、試験結果に反映させることは作業が繁雑となり、ヒューマンエ ラーを起こす可能性も高くなる。この場合、計測機器の校正の不確かさは試験所自身が取り決めた計測機器の管理範囲において 矩形分布すると仮定して求める。
5.2 測定不確かさのタイプ A 評価 (MPa) ���(��)
曲げ試験は、破壊試験であることから、一個の試験片で繰り返しの不確かさを評価できないので、できる限り均質な試験片を作 製したという条件で、同一ロットから無作為に取られたばらつきの少ないサンプルの繰り返し性を評価する必要がある。
このガイドの曲げ試験は、JIS K 7171 6.3 の規定にしたがって作製され、同一ロットから無作為に取られた試験片は、採取部位 による特性値(引張強さ及びひずみ等)のばらつきを無視できると仮定する。
試験片を n 個採取し、曲げり強さ��� (MPa, i = 1, 2, 3,・・・, n)が得られれば、この数値群に対して、平均値及び推定母標準偏差
��を計算することができる。これらから繰り返しの測定不確かさの�cA(��)は、
�� = � 1� � ���
�
�=1
(2)
��(��) =
1
√� − 1�� ����− �� ��
� 2
�=1
(3)
�cA(��) =��(��
)
��a (4)
によって求められる。 ここで、
�� � :曲げ強さの平均値(MPa)
n :試験片の個数
��(��) :曲げ強さの推定母標準偏差(MPa)
�cA(��) :試験片 na個を想定したときの平均値の曲げ強さの標準不確かさ(MPa) である。
この測定不確かさを評価するためには、試験片 10 個以上の繰り返し測定を行うことを推奨する。
a) 試験所の試験室内評価実験と中間測定精度の解析
試験所では、4 つの重要な因子(時間、校正、オペレータ、装置)が測定のばらつきに寄与していると考え、試験所の状態を以下 のとおり、表 1 にまとめた。
表 1 4 つの重要な因子とその状態
因子 試験室内の測定条件
状態 1(同じ) 状態 2(異なる)
時間(T) 同じときに行われた測定(該当) 時間を変えて行われた測定 校正(C) 測定の間には校正は行わない(該当) 測定の間には校正が行われる
オペレータ(O) 同一オペレータ 異なるオペレータ(該当)
装置(E) 再校正を行わない同一装置(該当) 異なる装置
試験所では、4 つの因子を全ての条件を検討する再現精度を求めるのではなく、中間条件として均一と仮定した測定試料、同じ 時間、同じ校正を用い、同じ装置で、オペレータ(O)が異なるものを用いて独立な測定結果を測定の中間条件とした。
[オペレータ]が異なる中間標準偏差の推定値は、次のとおり定義する。
�I(O)= 1
√� − 1�� ����− �� ��
� 2
�=1
(3.1)
1) 状態調節及び試験環境の要因
試験片が温度 23 ℃±2 ℃、相対湿度 50 %±10 %で状態調節及び試験環境の要因は、曲げ強さ試験の繰り返し不確かさ
�cA(��)に含めることとした。ただし、このガイドでは、温度環境の変動が寸法に与える要因として温度変動による寸法(幅)標準不確
かさ(mm) �(�T)、寸法(厚さ)標準不確かさ(mm) �(ℎT)及び支点間距離の標準不確かさ(mm) �(�T)を特定し、タイプ B の不確 かさとして考慮することとした。温度変動による寸法標準不確かさ(mm) �(�T)、�(ℎT)及び�(�T)は、幅 b、厚さ h 及び支点間距離 Lの不確かさに及ぼす影響が十分小さいことが確認できれば省略できる。
2) 試験者
以下の不確かさの要因は、曲げ強さ試験の繰り返し不確かさ �cA(��)に含めることとした。 2.1) 試験片に対する測長器の当て方又は強さ
2.2) 測長器の目盛りの読み方 2.3) 試験片作製作業
2.4) 曲げ試験機への試験片の取り付け作業 2.5) 予備荷重
2.6) 支点間距離 2.7) 試験作業
3) 寸法測定の繰り返し不確かさ
以下の不確かさの要因は、曲げ強さ試験の繰り返し不確かさ�cA(��)に含めることとした。ただし、寸法測定の繰り返し不確かさ は、タイプ B の評価を行うことにした。
3.1) 厚さ測定の繰り返し 3.2) 幅測定の繰り返し 3.3) 支点間距離の繰り返し
b) 依頼試験(試験報告書に不確かさの表示の要求があった場合)
状態調節及び試験環境(温度及び相対湿度)、試験者及び寸法測定の繰り返しのそれぞれの不確かさについては、5.2 a) 1)か ら 3)と同様である。
曲げ強さ及び不確かさの算出を要求する依頼試験を受託した場合、測定不確かさのタイプ A 評価には、原則 1 名の試験片作 製オペレータ及び1名の曲げ試験オペレータで行い、採取試験片の個数を 10 個の繰り返し測定を行うこととした。
5.3 測定不確かさのタイプ B 評価
5.3.1 評価項目
このガイドに示す曲げ試験の不確かさの見積もり事例は、数式モデルとして表現できる試験方法であり、「JNLA の試験における 測定の不確かさの適用に関する方針」で規定するカテゴリー分類第Ⅲ類「定量試験 B」に該当すると考えられる。
曲げ強さの不確かさのタイプ A 評価以外のすべての得られる情報には、校正証明書、製造者の仕様書、計算、公表されている 情報(JIS 規格類の結果の表示方法等)がある。これらの情報の値の単位は、質量、力、長さ及び環境(温度)があり、そのままでは 曲げ強さ( MPa )の合成標準不確かさを求めることができない。
このガイドでは、複数作製された試験片から得られる繰り返しの測定不確かさのタイプ A 評価以外の方法で決定される測定成分 の評価をタイプ B 評価として、式(1)に不確かさの伝播則を適用し、以下の順に標準不確かさを求めることとした。
a) 力の標準不確かさ(N) �(�) b) 幅の標準不確かさ(mm) �(�)
c) 厚さの標準不確かさ(mm) �(ℎ) d) 支点間距離の標準不確かさ(mm) �(�) e) 曲げ応力の標準不確かさ(MPa) �cB����
5.3.2 不確かさ見積もり手順
5.3.2.1 力の標準不確かさ(N) �(�)
曲げ試験機の校正の標準不確かさ(N) �(uc)及び曲げ試験機の分解能の標準不確かさ(N) �(ur)を考慮する。クロスヘッド速 度精度の不確かさは、考慮しないで、繰り返しの不確かさに含める。
よって、力の標準不確かさ(N) �(�)は、以下の式から求められる。
�2(�) = �2(uc) +�2(ur) (5) 5.3.2.2 幅の標準不確かさ(mm) �(�)
標準不確かさ�(�)の要因は、以下の通りとした。 a) 測長器(例:ノギス)の校正標準不確かさ(mm) �(cc)
測長器の校正証明書より求める。
b) 測長器(例:ノギス)の分解能の標準不確かさ(mm) �(cr) 測長器の最小目盛りの半値幅とする。
c) 温度変動による寸法(幅)の標準不確かさ(mm) �(�T)
状態調節及び試験室の試験温度の変動及び膨張係数から求める。
温度計の校正の標準不確かさ(℃)については、幅測定の標準不確かさ �(�)に対して、その校正の不確かさに熱膨張係数を乗 じた値の影響が十分小さいので無視することとする。
d) 寸法測定精度(幅)の標準不確かさ(mm) �(�s) 規格票又は手順書に規定された測定精度から求める。
5.3.2.3 厚さ測定の標準不確かさ(mm) �(�) 標準不確かさ �(ℎ)の要因は、以下の通りとした。
a) 測長器(例:マイクロメータ)の校正標準不確かさ(mm) �(mc) 測長器の校正証明書より求める。
b) 測長器(例:マイクロメータ)の分解能の標準不確かさ(mm) �(mr) 測長器の最小目盛りの半値幅とする。
c) 温度変動による寸法(厚さ)の標準不確かさ(mm) �(ℎT)
状態調節及び試験室の試験温度の変動及び膨張係数から求める。
温度計の校正の標準不確かさ(℃)については、幅測定の標準不確かさ �(ℎ)に対して、その校正の不確かさに熱膨張係数を乗 じた値の影響が十分小さいので無視することとする。
d) 寸法測定精度(厚さ)の標準不確かさ(mm) �(ℎs) 規格票又は手順書に規定されたに測定精度から求める。
5.3.2.4 支点間の標準不確かさ(mm) �(�) 標準不確かさ �(�)の要因は、以下の通りとした。
a) 測長器(例:ノギス)の校正標準不確かさ(mm) �(cc) 測長器の校正証明書より求める。
b) 測長器(例:ノギス)の分解能の標準不確かさ(mm) �(cr) 測長器の最小目盛りの半値幅とする。
c) 支点間測定精度の標準不確かさ(mm) �(�s) 規格票又は手順書に規定された測定精度から求める。
5.3.2.5 不確かさの伝播則
式(1)に不確かさの伝播則を適用した式を式(1.1)に示す。
�2���� = �∂�∂� ��
2
�2(�) + �∂�∂� ��
2
�2(�) + �∂�∂ℎ ��
2
�2(ℎ) + �∂�∂� ��
2
�2(�)
=�
3 �
2 �ℎ
2�2
�2(�)
+
�− 3 ��
2 �
2ℎ
2�2
�2(�)
+
�− 3 ��
�ℎ
3�2
�2(ℎ) + �
3 �
2 �ℎ
2�2
�
2( �)
(1.1)ここで、�2(�)、�2(�)、�2(ℎ)及び�2(�)は、以下の算出式により求められる。
�2(�) = �2(uc) +�2(ur) (1.1.1)
�2(�) = �2(cc) +�2(cr)+ �2(�T) + �2(�s) (1.1.2)
�2(ℎ) = �2(mc) +�2(mr) +�2(ℎT) + �2(ℎs) (1.1.3)
�2(�) = �2(cc) +�2(cr) + �2(�s) (1.1.4) である。
5.4 合成標準不確かさ(MPa) ��(��)
合成標準不確かさ ��(��)は、式(4)及び式(1.1)から求めた値を合成して、
�c2(��) =�2cA���� + �cB2 ���� (6) によって求められる。
ここで、
�c(��) :合成標準不確かさ(MPa)
�cA���� :繰り返し採取した試料測定の推定標準不確かさ(MPa)
�cB���� :曲げ試験における測定不確かさのタイプ A 評価以外のすべての得られる情報(校正証明書、製造者 の仕様書、JIS 規格の測定精度及び温度等から合成した標準不確かさ(MPa)
である。
5.5 拡張不確かさ(MPa) �(��)
拡張不確かさ �(��)は、式(6)から求めた合成標準不確かさ �c(��)に包含係数 k=2 を乗じた値とする。
�(��) =� × �c(��) 包含係数 k=2 とした拡張不確かさ (7)
6 不確かさの見積もり事例
ここでは、実際の不確かさの算出例について、2 例示す。
6.1 試験所の試験室内評価実験による見積もり事例
6.1.1 測定不確かさのタイプ A 評価の標準不確かさ(MPa) ���(��)
ある試験所では、定義された測定条件下で得られる測定された値の統計解析による測定不確かさの成分の評価を、以下のとお り実施していた。
a) 中間測定精度
試験所では、4 つの重要な因子(時間、校正、オペレータ、装置)が測定のばらつきに寄与していると考え、均一と仮定した測定 試料について同じ方法を用い、同じ試験室で、同じ時間で、オペレータが異なるものを用いて独立な測定結果を測定の中間条件
(4 つの因子のうち 1 つの因子に限定)とした。
試験片作製オペレータ 2 名(W=2)及び曲げ試験オペレータ 3 名(D=2)により、採取試料 5 個ずつ測定を行い合計 30 回(>10 回)の実験を実施し、表 2 に示す結果を得た。
表 2 試験所内比較試験結果(2)
試験片作製者 W1 試験片作製者 W2
MPa 試験の順番 MPa 試験の順番
試験者 D1
90.9 (8) 90.3 (20)
91.2 (6) 90.2 (4)
87.3 (15) 88.5 (23)
90.0 (16) 90.9 (10)
90.5 (21) 89.9 (1)
試験者 D2
88.5 (7) 91.0 (26)
89.3 (2) 90.9 (17)
87.2 (11) 89.5 (12)
92.1 (24) 89.3 (28)
91.3 (18) 89.5 (30)
試験者 D3
89.7 (27) 91.7 (3)
89.9 (19) 89.5 (14)
90.1 (22) 91.6 (13)
91.3 (5) 89.4 (29)
91.6 (9) 89.3 (25)
試験全体の繰り返し回数 30
試験者の人数(水準) 3
試験片作製者の人数(水準) 2
一人当たりの繰り返し回数 5
曲げ強さの和 2702.4 MPa
力の平均値 150.1 N
曲げ強さの平均値 90.08 MPa
曲げ強さの標準偏差 1.220 MPa
試験報告書あたりの試験片作製者の人数 1
試験報告書あたりの試験者の人数 1
試験報告書に記載する報告値の平均値の個数 5
注(2) 表中のデータは実際の測定に基づくものではなく、架空のデータである。
b) 繰り返しの標準不確かさ(MPa) ���(��)
表 2 の結果から、複数採取した試験片の曲げ強さ測定値が 30 個(W×D×n=30)あり、その全体の推定母平均値 �̂ 及び中間 標準偏差の推定値 �I(O) を求めたところ、
�̂ = 90.08 MPa
�I(O) = 1.220 MPa であった。
試験所の受託試験にけるルーチン業務の手順書では、1 名の試験片作製オペレータが 5 個を採取作製し、1 名の曲げ試験オ ペレータが 5 個測定し、n=5 の平均値を求めて試験報告値を作成することになっていた。よって、ルーチン業務での採取試験片 5 個の測定の標準不確かさ �cA(��) を想定して、式(3.1)及び式(4)を適用し √5 で除して求めた。
�cA���� =�I(O)
√� = 1.220
√5 = 0.546 MPa (8)
6.1.2 曲げ応力の標準不確かさ(MPa) ���(��)
6.1.2.1 力の標準不確かさ(N) �(�)
力の標準不確かさ �(�)は、以下の手順で二つの標準不確かさの合成として求められる。クロスヘッド速度精度、予備荷重及び つかみ具間距離は試験結果のばらつきに含め、タイプ B 評価の対象から除外した。
a) 曲げ試験機の校正不確かさ(N) �(��)
曲げ試験機の校正証明書より、拡張不確かさ(U)は 0.14 %(包含係数 k=2)であった。表 2 試験所内比較試験結果で曲げ強さ 試験の繰り返し不確かさを求めたとき力の平均値が 150.1 N であった。よって、
�(uc) =�(%)2 ×100(%)1 × 150.1 N =0.14% 2 ×
1
100(%)× 150.1 N = 0.105 N である。
b) 曲げ試験機の分解能の標準不確かさ(N) �(��)
曲げ試験機の分解能は、1 N であった。その半値幅から標準不確かさ �(ur)を求めると、
�(ur) =1 N 2 ×
1
√3= 0.289 N である。
c) 標準不確かさ(N) �(�)
これまで求めた標準不確かさ �(uc)及び�(ur)を式(1.1.1)に代入し、力の標準不確かさを求めると、
�(�) = ��2(uc) +�2(ur) =�0.1052+ 0.2892= 0.307 N (9) である。
d) バジェットシート バジェットシート 1
記号 不確かさの要因 標準不確かさ 感度係数 標準不確かさ 備考
�(uc) 曲げ試験機の校 正不確かさ
0.105 N 曲げ試験機の校正証明書より、拡張不確か
さ(U)は0.14 %(包含係数k=2)であった。力の 平均値が150.1 Nであった。
�(ur) 曲げ試験機の分 解能の標準不確 かさ
0.289 N 曲げ試験機の分解能は、1 N
�(�) 力の標準不確かさ 0.307 N 1 0.307 N
6.1.2.2 幅測定の標準不確かさ(mm) �(�)
標準不確かさ �(�)は、以下の手順で四つの標準不確かさの合成として求められる。 a) 測長器(例:ノギス)の校正標準不確かさ(mm) �(��)
ノギスの校正証明書より、拡張不確かさ(U)は 0.02 mm(包含係数 k=2)であった。よって、
�(cc) =�2 =0.022 = 0.01 mm
である。
b) ノギスの分解能の標準不確かさ(N) �(��)
ノギスの分解能は、0.01 mm であった。その半値幅から標準不確かさ �(cr)を求めると、
�(cr) =0.01 mm2 × 1
√3= 0.00289 mm である。
c) 温度変動による寸法(幅)の標準不確かさ(mm) �(��)
試験片は、室温の変化によって体積が変動する。ここでは 2 級許容差での状態調節及び試験環境によって引き起こされる不確 かさについて評価する。室温の変動の標準不確かさ(℃) �(t)は、23 ℃±2 ℃で矩形分布していると仮定。よって、
�(t) =2 ℃
√3 = 1.155 ℃ となる。
温度変動による寸法(幅)の標準不確かさ(mm) �(�T)は、試験室温の標準不確かさ(℃) �(t)から変換する感度係数が(プラス チックの熱膨張係数)×(試験片の幅の呼び長)となる。このとき、プラスチックの熱膨張係数は、23 ℃付近の熱膨張係数
�23= 0.0008 /℃を用い、試験片の幅の呼び長さ b=10 mm であるので、標準不確かさ �(�T)は、
�(�T) = �23×� × �(t) = 0.0008 /℃ × 10 mm × 1.155℃ = 0.00924 mm となる。
d) 寸法測定精度(幅)の標準不確かさ(mm) �(��)
寸法測定精度(幅)は、0.1 mm であった。その半値幅から標準不確かさ �(�s)を求めると、
�(�s) =0.1 mm2 × 1
√3= 0.0289 mm である。
e) 標準不確かさ(mm) �(�)
これまで求めた標準不確かさ �(cc)、�(cr)、�(�T)及び�(�s)を式(1.1.2)に代入し、幅測定の標準不確かさを求めると、
�(�) = ��2(cc) +�2(cr) + �2(�T) + �2(�s) = �0.012+ 0.002892+ 0.009242+ 0.02892= 0.0321 mm (10) である。
f) バジェットシート バジェットシート 2
記号 不確かさの要因 標準不確かさ 感度係数 標準不確かさ 備考
�(cc) ノギスの校正 0.01 mm ノギスの校正証明書より、拡張不確かさ(U)
は0.02 mm(包含係数k=2)であった。
�(cr) ノギスの分解能 0.00289 mm ノギスの分解能は、0.01 mm
�(�T) 温度変動による寸法(幅) 0.00924 mm プラスチックの膨張係数は、0.0008 /℃であ った。温度変動は±2 ℃
幅(呼び)=10 mm
�(�s) 寸法測定精度(幅) 0.0289 mm 寸法測定精度(幅)は、0.1 mmまで測定し た。
�(�) 幅測定 0.0321 mm 1 0.0321 mm
6.1.2.3 厚さ測定の標準不確かさ(mm) �(�)
標準不確かさ �(ℎ)は、以下の手順で四つの標準不確かさの合成として求められる。 a) 測長器(例:マイクロメータ)の校正標準不確かさ(mm) �(��)
マイクロメータの校正証明書より、拡張不確かさ(U)は 0.02 mm(包含係数 k=2)であった。よって、
�(mc) =� 2 =
0.02
2 = 0.01 mm である。
b) マイクロメータの分解能の標準不確かさ(N) �(��)
マイクロメータの分解能は、0.01 mm であった。その半値幅から標準不確かさ �(mr)を求めると、
�(mr) =0.01 mm2 × 1
√3= 0.00289 mm である。
c) 温度変動による寸法(厚さ)の標準不確かさ(mm) �(��)
試験片は、室温の変化によって体積が変動する。ここでは 2 級許容差での状態調節及び試験環境によって引き起こされる不確 かさについて評価する。室温の変動の標準不確かさ �(t)は、23 ℃±2 ℃で矩形分布していると仮定。よって、
�(t) =2 ℃
√3 = 1.155 ℃ となる。
温度変動による寸法(厚さ)の標準不確かさ(mm) �(ℎT)は、試験室温の標準不確かさ(℃) �(t)から変換する感度係数が(プラ スチックの熱膨張係数)×(試験片の厚さの呼び長)となる。このとき、プラスチックの熱膨張係数は、23 ℃付近の熱膨張係数
�23= 0.0008 /℃を用い、試験片の厚さの呼び長さ h=4 mm であるので、標準不確かさ �(ℎT)は、
�(ℎT) = �23×ℎ × �(t) = 0.0008 /℃ × 4 mm × 1.155℃ = 0.00370 mm
となる。
d) 寸法測定精度(厚さ)の標準不確かさ(mm) �(��)
寸法測定精度(厚さ)は、0.01 mm であった。その半値幅から標準不確かさ �(ℎs)を求めると、
�(ℎs) =0.01 mm2 × 1
√3= 0.00289 mm である。
e) 標準不確かさ(mm) �(�)
これまで求めた標準不確かさ �(mc)、�(mr)、�(ℎT)及び�(ℎs)を式(1.1.3)に代入し、厚さ測定の標準不確かさを求めると、
�(ℎ) = ��2(mc) +�2(mr) + �2(ℎT) + �2(ℎs) = �0.012+ 0.002892+ 0.003702+ 0.002892= 0.0114 mm (11) である。
f) バジェットシート バジェットシート 3
記号 不確かさの要因 標準不確かさ 感度係数 標準不確かさ 備考
�(cc) マイクロメータの校正 0.01 mm マイクロメータの校正証明書より、拡張不確 かさ(U)は0.02 mm(包含係数k=2)であった。
�(cr) マイクロメータの分解能 0.00289 mm マイクロメータの分解能は、0.01 mm
�(ℎT) 温度変動による寸法(厚さ) 0.00370 mm プラスチックの膨張係数は、0.0008 /℃であ った。温度変動は±2 ℃ 厚さ(呼び)=4 mm
�(ℎs) 寸法測定精度(厚さ) 0.00289 mm 寸法測定精度(厚さ)は、0.01 mmまで測定し た。
�(ℎ) 厚さ測定 0.0114 mm 1 0.00114 mm
6.1.2.4 支点間距離の標準不確かさ(mm) �(�)
標準不確かさ �(�)は、以下の手順で三つの標準不確かさの合成として求められる。 a) 測長器(例:ノギス)の校正標準不確かさ(mm) �(��)
ノギスの校正証明書より、拡張不確かさ(U)は 0.02 mm(包含係数 k=2)であった。よって、
�(cc) =�2 =0.022 = 0.01 mm
である。
b) ノギスの分解能の標準不確かさ(N) �(��)
ノギスの分解能は、0.01 mm であった。その半値幅から標準不確かさ �(cr)を求めると、
�(cr) =0.01 mm2 × 1
√3= 0.00289 mm である。
c) 支点間測定精度の標準不確かさ(mm) �(��)
測定精度は、0.2 mm であった。その半値幅から標準不確かさ �(�s)を求めると、
�(�s) =0.2 mm2 × 1
√3= 0.0577 mm である。
d) 標準不確かさ �(�)
これまで求めた標準不確かさ �(cc)、�(cr)及び�(�s)を式(1.1.4)に代入し、幅測定の標準不確かさを求めると、
�(�) = ��2(cc) +�2(cr) +�2(�s) = �0.012+ 0.002892+ 0.05772= 0.0586 mm (12) である。
e) バジェットシート バジェットシート 4
記号 不確かさの要因 標準不確かさ 感度係数 標準不確かさ 備考
�(cc) ノギスの校正 0.01 mm ノギスの校正証明書より、拡張不確かさ(U)
は0.02 mm(包含係数k=2)であった。
�(cr) ノギスの分解能 0.00289 mm ノギスの分解能は、0.01 mm
�(�s) 支点間測定精度 0.0577 mm 寸法測定精度(支点間)は、0.2 mmまで測定 した。
�(�) 支点間距離 0.0586 mm 1 0.0586 mm
6.1.2.5 標準不確かさ(MPa) ���(��)
これまで求めた�(�)、�(�)、�(ℎ)及び�(�)を式(1.1)に代入して、曲げ応力の標準不確かさを求めると、
�cB���� = ��
3 �
2 �ℎ
2�2
�2(�)
+
�− 3 ��
2 �
2ℎ
2�2
�2(�)
+
�− 3 ��
�ℎ
3�2
�2(ℎ) + �
3 �
2 �ℎ
2�2
�
2( �)
= �� 3 × 64 2 × 10 × 42�
2
× 0.3082+�−3 × 150.1 × 64 2 × 102× 42 �
2
× 0.03212+�−3 × 150.1 × 64 10 × 43 �
2
× 0.01142+�3 × 150.1 2 × 10 × 42�
2
× 0.05862
= 0.6228 MPa
(13)
6.1.2.6 バジェットシート バジェットシート 5
記号 不確かさの要因 標準
不確かさ 感度係数
標準
不確かさ 備考
�(�) 力 0.307 N
0.6 /mm2
0.1842 MPa
幅 b=10 mm(呼び)、厚さ h=4 mm(呼び) 及び支点間距離L=64 mm(呼び) 感度係数は 3×64
2×10×42= 0.6 /mm 2
�(�) 幅 0.0321 mm
9.006 N/mm3
0.2891 MPa
表 2の力の平均値F=150.1 N
幅 b=10 mm(呼び)、厚さ h=4 mm(呼び) 及び支点間距離L=64 mm(呼び) 感度係数は3×150.1×64
2×102×42 = 9.006 N/mm3
�(ℎ) 厚さ 0.0114 mm
45.03 N/mm3
0.5133 MPa
表 2の力の平均値F=150.1 N
幅 b=10 mm(呼び)、厚さ h=4 mm(呼び) 及び支点間距離L=64 mm(呼び) 感度係数は3×150.1×64
10×43 = 45.03 N/mm3
�(�) 支点間距離 0.0586 mm
1.4072 N/mm3
0.0825 MPa
表 2の力の平均値F=150.1 N
幅 b=10 mm(呼び)、厚さ h=4 mm(呼び) 及び支点間距離L=64 mm(呼び) 感度係数は3×150.1
2×10×42= 1.4072 N/mm3
�cB(��) 0.6228
MPa
6.1.3 合成標準不確かさ(MPa) ��(��)
これまで求めた式(8)及び式(13)を式(6)に代入して、合成標準不確かさ ��(��)を求めると、
������ = ��cA2 ���� + �cB2 ���� = �0.5462+ 0.62282= 0.8282 MPa
(14)
6.1.4 拡張不確かさ(MPa) �(��)
式(14)を式(7)に代入して、拡張不確かさ �(��)を求めると、
����� = � × ������ = 2 × 0.8282 = 1.6564 ≒ 1.7 MPa (15)
6.1.5 バジェットシート バジェットシート 6
記号 不確かさの要因 標準不確かさ 感度係数 標準不確かさ 備考
�cA(��) タイプA評価 0.546 MPa
�cB(��) 曲げ応力 0.4410 MPa
�c(��) 合成標準不確かさ 0.8282 MPa 0.8282 MPa
�(��) 曲げ強さの拡張不確かさ (k=2) 1.6564 MPa
6.1.6 拡張不確かさの表記
結果の表示が有効数字 3 桁なので、試験所内比較試験の拡張不確かさの表記の方法を以下のとおりとした。 表記例
試験結果及びその不確かさ 90.1 MPa ± 1.7 MPa(ここで「MPa」は単位)、記号±に続く数は、包含係数 k=2 とした 拡張不確かさである。
6.2 依頼試験(試験報告書に不確かさの表示の要求があった場合)の見積もり事例
6.2.1 測定不確かさのタイプ A 評価の標準不確かさ(MPa) ���(��)
ある試験所では、試験を受託した際に、顧客の要求に「試験報告書に不確かさの表示をすること。」が記載されていた。受託試 験の手順書では試験回数 n=5 としていたが、試験回数 n=10 として測定不確かさのタイプ A 評価 �cA(��)を見積もることとした。
このガイドでは、6.1 試験所内評価実験を行ったときと同じ試験片の規格、試験条件、校正、オペレータ及び装置であったと仮 定する。
a) 試験結果
表 3 に示す結果を得た。
表 3 (3) 試験片 10 個繰り返し測定データ
依頼品のプラスチックの繰り返しの標準不確かさ �cA(��) を算出するためのデータ
10 回 の 繰 り 返 し デ ー タ (MPa)
1 89.2 2 89.8 3 90.4 4 91.1 5 89.0 6 89.6 7 90.4 8 91.3 9 89.0 10 89.4
試験全体の繰り返し回数 10
曲げ強さの和 899.2 MPa 測定荷重の平均値 150.0 N
曲げ強さの平均値 89.92 MPa 曲げ強さの標準偏差 0.840 MPa
注 (3):表中のデータは実際の測定に基づくものではなく、架空のデータである。 b) 繰り返しの標準不確かさ(MPa) ���(��)
表 3 の結果から、複数採取した試験片の曲げ強さ測定値が 10 個で、その全体の推定母平均値 �̂ 及び推定母標準偏差��(��) を求めたところ、
�̂ = 89.92 MPa
��(��) = 0.840 MPa であった。
試験所の受託試験にけるルーチン業務の手順書では、1 名の試験片作製オペレータが 5 個を採取作製し、1 名の曲げ試験オ ペレータが 5 個測定し、n=5 の平均値を求めて試験報告値を作成することになっていた。よって、ルーチン業務での採取試験片 5 個の測定の標準不確かさ �cA(��) を想定して、式(3)を適用し √5 で除して求めた。
�cA���� =��(��)
√� = 0.840
√5 = 0.3757 MPa (16)
6.2.2 曲げ応力の標準不確かさ(MPa) ���(��)
6.2.2.1 力の標準不確かさ(N) �(�)
力の標準不確かさ �(�)は、以下の手順で二つの標準不確かさの合成として求められる。クロスヘッド速度精度、予備荷重及び つかみ具間距離は試験結果のばらつきに含め、タイプ B 評価の対象から除外した。
a) 曲げ試験機の校正不確かさ(N) �(��)
曲げ試験機の校正証明書より、拡張不確かさ(U)は 0.14 %(包含係数 k=2)であった。表 3 試験片 10 個繰り返し測定データで 曲げ強さ試験の繰り返し不確かさを求めたとき力の平均値が 150.0 N であった。よって、
�(uc) =�(%) 2 ×
1
100(%)× 150.0 N =0.14% 2 ×
1
100(%)× 150.0 N = 0.105 N である。
b) 曲げ試験機の分解能の標準不確かさ(N) �(��)
曲げ試験機の分解能は、1 N であった。その半値幅から標準不確かさ �(ur)を求めると、
�(ur) =1 N2 × 1
√3= 0.289 N である。
c) 標準不確かさ(N) �(�)
これまで求めた標準不確かさ �(uc)及び�(ur)を式(1.1.1)に代入し、力の標準不確かさを求めると、
�(�) = ��2(uc) +�2(ur) =�0.1052+ 0.2892= 0.307 N (17) である。
d) バジェットシート バジェットシート 7
記号 不確かさの要因 標準不確かさ 感度係数 標準不確かさ 備考
�(uc) 曲げ試験機の校 正不確かさ
0.105 N 曲げ試験機の校正証明書より、拡張不確か
さ(U)は0.14 %(包含係数k=2)であった。力 の平均値が150.0 Nであった。
�(ur) 曲げ試験機の分 解能の標準不確 かさ
0.289 N 曲げ試験機の分解能は、1 N
�(�) 力の標準不確かさ 0.307 N 1 0.307 N
6.2.2.2 幅測定の標準不確かさ(mm) �(�)
ノギス及びマイクロメータは、6.1 試験所内評価実験と同じものを用い、校正値も同じであった。同様に試験条件も同じであった。
このときの標準不確かさ �(�)は、式(10)と同じ値であるので、
�(�) = ��2(cc) +�2(cr) + �2(�T) + �2(�s) = 0.0321 mm (18) となる。
6.2.2.3 厚さ測定の標準不確かさ(mm) �(�)
ノギス及びマイクロメータは、6.1 試験所内評価実験と同じものを用い、校正値も同じであった。同様に試験条件も同じであった。 このときの標準不確かさ �(ℎ)は、式(11)と同じ値であるので、
�(ℎ) = ��2(mc) +�2(mr) + �2(ℎT) + �2(ℎs) = 0.0114 mm (19) である。
6.2.2.4 支点間距離の標準不確かさ(mm) �(�)
ノギスは、6.1 試験所内評価実験と同じものを用い、校正値も同じであった。同様に試験条件も同じであった。このときの標準不 確かさ �(�)は、式(12)と同じ値であるので、
�(�) = ��2(cc) +�2(cr) +�2(�s) = 0.0586 mm (20) である。
6.2.2.5 標準不確かさ(MPa) ���(��)
これまで求めた�(�)、�(�)、�(ℎ)及び�(�)を式(1.1)に代入して、曲げ応力の標準不確かさを求めると、
�cB���� = ��
3 �
2 �ℎ
2�2
�2(�)
+
�− 3 ��
2 �
2ℎ
2�2
�2(�)
+
�− 3 ��
�ℎ
3�2
�2(ℎ) + �
3 �
2 �ℎ
2�2
�2(�)
= �� 3 × 64 2 × 10 × 42�
2
× 0.3082+�−3 × 150.0 × 64 2 × 102× 42 �
2
× 0.03212+�−3 × 150.0 × 64 10 × 43 �
2
× 0.01142+�3 × 150.0 2 × 10 × 42�
2
× 0.05862
= 0.6228 MPa
(21)
6.2.2.6 バジェットシート バジェットシート 8
記号 不確かさの要因 標準
不確かさ 感度係数
標準
不確かさ 備考
�(�) 力 0.307 N
0.6 /mm2
0.1842 MPa
幅 b=10 mm(呼び)、厚さ h=4 mm(呼び) 及び支点間距離L=64 mm(呼び) 感度係数は 3×64
2×10×42= 0.6 /mm 2
�(�) 幅 0.0321 mm
9.000 N/mm3
0.2889 MPa
表 2の力の平均値F=150.1 N
幅 b=10 mm(呼び)、厚さ h=4 mm(呼び) 及び支点間距離L=64 mm(呼び) 感度係数は3×150.0×64
2×102×42 = 9.000 N/mm3
�(ℎ) 厚さ 0.0114 mm
45.00 N/mm3
0.5130 MPa
表 2の力の平均値F=150.1 N
幅 b=10 mm(呼び)、厚さ h=4 mm(呼び) 及び支点間距離L=64 mm(呼び) 感度係数は3×150.0×64
10×43 = 45.00 N/mm3
�(�) 支点間距離 0.0586 mm
1.40625 N/mm3
0.0824 MPa
表 2の力の平均値F=150.1 N
幅 b=10 mm(呼び)、厚さ h=4 mm(呼び) 及び支点間距離L=64 mm(呼び) 感度係数は3×150.0
2×10×42= 1.40625 N/mm3
�cB(��) 0.6224
MPa
6.2.3 合成標準不確かさ(MPa) ��(��)
これまで求めた式(16)及び式(21)を式(6)に代入して、合成標準不確かさ ��(��)を求めると、
������ = ��cA2 ���� + �cB2 ���� = �0.37572+ 0.62242= 0.7270 MPa
(22)
6.2.4 拡張不確かさ(MPa) �(��)
式(22)を式(7)に代入して、拡張不確かさ �(��)を求めると、
�(�) = � × ������ = 2 × 0.7270 = 1.4540 ≒ 1.5 MPa (23) 6.2.5 バジェットシート
バジェットシート 9
記号 不確かさの要因 標準不確かさ 感度係数 標準不確かさ 備考
�cA(��) タイプA評価 0.3757 MPa
�cB(��) 曲げ応力 0.6224 MPa
�c(��) 合成標準不確かさ 0.7270 MPa 0.7270 MPa
�(��) 曲げ強さの拡張不確かさ (k=2) 1.4540 MPa
6.2.6 拡張不確かさの表記
結果の表示が有効数字 3 桁なので、試験所内比較試験の拡張不確かさの表記の方法を以下のとおりとした。 表記例
試験結果及びその不確かさ 89.9 MPa ± 1.5 MPa(ここで「MPa」は単位)、記号±に続く数は、包含係数 k=2 とした 拡張不確かさである。
7 参考文献
ISO/IEC Guide 98-3:2008 測定における不確かさの表現のガイド
ISO/IEC Guide 99:2007 国際計量計測用語-基本及び一般概念並びに関連用語(VIM)
JIS K 7100:1999 プラスチック-状態調節及び試験のための標準雰囲気
JIS K 7171:2008 プラスチック-曲げ特性の求め方
JIS Z 8402-3:1999 測定方法及び測定結果の精確さ(真度及び精度)-第3部:標準測定方法の中間精度
ASG104 不確かさの入門ガイド
今回の改正のポイント 1 様式の見直し
今回の改正で、以下の通り変更した。 1.1 標準不確かさの記号について、
標準不確かさの記号の様式を変更した。例として、力の標準不確かさを��から�(�)としたように、下付文字をなくした。なお、評 価しない標準不確かさの記号はなくすようにした。
1.2 項立ての変更
一つの項の中にあった複数の手順を項番号に枝番号を付して別の項立てとした。同時に複数の手順が一つのバジェットシート にあったので、それぞれの項にバジェットシートを載せた。
1.3 プラスチックの曲げ試験の操作例について、
プラスチックの曲げ試験の操作例を適用範囲の次に載せた。試験方法の概要を初めに説明した方が理解しやすいと判断した。
2 項目の削除
要因分散分析について「当該要因で有意差が見られなかったので,全体の数値群の推定標準偏差から繰り返しの標準不確か さを求める。」という前提で標準不確かさを求めていたが、実際の試験において有意差が出た場合や,交互作用だけ有意差が出 たときの扱いを決める必要があるにもかかわらず、決め切れていなかった。さらに環境温度要因を追加した場合、三元配置の繰り 返しとなったとき、コンピュータ計算ソフト(EXCELの分析ツール等)でも対応できなくなる。要因分析の要因を追加すればするほど、 分散分析を行って様々な分析結果への説明がますます困難となることが判明した。
今回の改正では、以下の要因分析を削除した。 2.1 環境要因の分析について
曲げ試験の環境条件がJIS K 7100:1999「プラスチック-状態調節及び試験のための標準雰囲気」の4. 標準雰囲気の表1の 標準雰囲気(23/50)及び5.2 標準雰囲気の2 級許容差(±2 ℃、±10%)にしたがって、温度23 ℃±2 ℃、相対湿度50 %±10 %で状態調節及び試験されることから、「室温の差が標準化され、影響が減らされている。」と考え、要因分析の対象から外した。
ただし、温度環境の変動が寸法に与える要因として温度変動による寸法標準不確かさを特定し、タイプBの不確かさとして考慮 する事例を示すこととした。
2.2 試験片作製オペレータ及び試験オペレータの要因分析について
環境が標準化されているとき、4つの重要な因子(時間、校正、オペレータ、装置)が測定のばらつきに寄与していると考え、オペ レータが異なる場合だけの再現性を考え、オペレータの再現標準偏差から求めた不確かさを繰り返しの標準不確かさとすることと した。